◆富士重工業は「地雷処理ロボット」までも作っていたのです。これも知らなかった。
しかし青山さんは「あまり儲からないから」と話していました。これは恐らく国策事業なんでしょうね。同社の前身が太平洋戦争中に旧日本陸軍の戦闘機「隼」などを製造していた中島飛行機だけに、地雷処理なんて戦争に極めて近いイメージのロボットを作っているのも、何となくうなづけます。

とは言うものの、地雷処理ロボットには平和志向の「清掃ロボットシステム」で培ったノウハウが活用されています。同じく原子炉部品保管プールの掃除をする「放射性汚染除去水底クリーナーロボット」や、無人で容器を運搬する「連結式容器搬送ロボット」といったものもすでに活躍しているそうです。
◆これらは後日機会があれば、また触れることにして、そろそろきのうの続きに入りましょう。
青山さんは「ロボット単体販売ではビジネスとしては成り立たない」と言い切り、ロボットはシステム販売徹するべきだと話しています。
しかも企業側にロボットを導入するニーズはなく、「ニーズは作っていくべきだ」といいます。
「ニーズよりも清掃するフィールドを確保すべきで、それさえできれば清掃ロボットのニーズは生まれる」
青山さんの経験から生まれた言葉です。それはなぜかというと、「掃除をする面積さえあれば人間のコストに勝つことができる」からです。
◆システムの売り込みはビル設計の段階から始まるらしいです。実に長期戦の営業であります。
それに気になるのが、このシステムは一体、どの程度の金額なのかということです。

これからは人と協調する清掃ロボットが課題という青山さん
青山さんはこのような計算をしてくれました。
たとえば40階建ての新築ビルであればビジネス規模は、ロボットが3台として約1400万円。それにシステム費として約1000万円、エレベーターの改造費が1フロアあたり約30万円と計算すると大体3000万円ぐらいになるそうです。
ロボット単体の比重は全体の3分の1程度ですね。また、ロボットのメンテナンスは、半年に1回で1台あたり12万円~15万円だといいます。メーカー保証期間は1年間です。
モーター関係のギアの寿命は2000時間~3000時間と見ています。駆動モーターも2000時間が限度です。そうするとそれらの部品の交換などを考えると、そうしたメンテナンス費用が出てくるのだといいます。
◆青山さんが清掃ロボットシステムを開発するのに最も時間を要したのはモジュールの設計で、その個々のモジュール設計図を体系化することだったといいます。「ロボットそのものを開発する時間よりも、その体系化に時間を要した」と当時を振り返っています。
その図面体系を編み出すのに役立ったのが『戦艦大和誕生』(講談社 ・前間孝則・著)という本だったそうです。この本の主人公である戦艦大和を設計した西島技術大佐は「ブロック工法」という造船工法を採用していますが、これがロボットのモジュール設計と体系化に役立ったというのです。
◆ところできのうすでに書いたように、この清掃ロボットは夜間に稼動します。しかしこれはセキュリティの問題で嫌がるビルもあるそうです。ですから昼間に清掃をするといった課題が生じてきます。
となると清掃ロボットは人間と一緒に同じフロアを動き回ることになります。そこで問われるのは「安全性」だと青山さんは指摘しています。
「人とロボットが協調した清掃システム」が大切なのです。
人とぶつからずに清掃を完了するには、歩く人を認識する画像センサーの技術を採用していく必要があります。とりわけステレオ画像センサーが重要になるといいます。
この技術について青山さんはまだ試行錯誤の段階だと言っていますが、「恐らく光センサーが有効だろう」と話していました。
富士重工業のロボットのお話はこれでおしまいです。
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